撥水と防水の違い

撥水と防水の違い

水を弾く撥水と水を防ぐ防水は、似ているようでまったく異なる加工や素材が用いられています。

今回は、合羽選びの際に意識しておきたい、「撥水加工」と「防水加工」の違いについて解説していきます。

水を弾く撥水と水を防ぐ防水

合羽などを選ぶ際に「撥水」や「防水」という文字を目にする機会も多いですが、似ている言葉であっても意味は大きく異なるので注意が必要です。

撥水力が高くても防水効果はない

撥水加工された合羽の場合、水は弾きますが水そのものの侵入を防ぐ効果はありません。「高い撥水性」などという表記があったりすると高い防水性があるように感じられますが、実際には水を弾く効果があるだけで防水性はありません。

水を通さない合羽が欲しいなら防水加工

一方、防水加工された合羽は、文字どおり水をしっかり防いでくれます。合羽そのものが水を通さない素材で作られているので、合羽の内側まで水が染み込んでくることもありません。

撥水加工のメリットとデメリット

撥水加工は素材の表面をコーティングすることによって、表面に付いた水を弾くように加工されたものです。

防水加工に比べて通気性に優れる

撥水加工の場合、水は弾きますが布本来の隙間があるので通気性に優れています。防水加工に比べると蒸れにくいのがメリットです。

しかし、長期に渡って使用していくうちにコーティングの効果も薄れていくため、水を弾く効果も徐々になくなり、結果的に布の隙間から水が染み込んでくるようになります。

長期間撥水効果を得たいのであれば、市販されている撥水スプレーなどを用いて効果を持続させる必要があり、それに伴う手間やコストも発生します。

防水加工のメリットとデメリット

防水加工は、合羽に用いられている素材そのものが合成ゴムや塩化ビニルなどで作られているので、水を完全に防ぐ効果に優れています。もちろん、撥水加工のように効果が薄れていくこともないのがメリットです。

撥水加工に比べて蒸れやすい

しかし、通気性が非常に悪いため蒸れてしまいやすいのがデメリットです。通気性重視で合羽選びをしたいなら、撥水加工を選んだ方が安心です。

ただし、防水加工の合羽でも、防水浸透素材と呼ばれる特殊な素材を用いて通気性をアップさせたタイプも登場しています。防水性にこだわりつつも適度な通気性能まで求めたいのであれば、そうした合羽を中心に選ぶようにするのがおすすめです。

合羽選びは撥水と防水のどちらを基準にすべき?

撥水加工は、購入した当初はコーティングがしっかりされているため勢い良く水を弾きますので、防水加工ほどではないにしてもそれなりに水の侵入を防ぐ効果を期待できます。

しかし、先述のとおり徐々にコーティングが落ちてしまうのが大きなデメリットですので、長期間の使用を想定して購入するのであれば防水加工の方が安心でしょう。

合羽選びの基準は耐水圧と透湿性

合羽選びの際、撥水加工と防水加工の違いを知っておくことは大切ですが、選び方の基準として重視すべきなのは「耐水圧」と「透湿性」です。

耐水圧というのは、雨などによる水濡れに対してどの程度の水圧まで耐えることができるかの指標で、数値が高ければ高いほど水が中まで染み込みにくいことを表しています。

透湿性というのは、合羽の内側から水蒸気を逃がす割合を示した数値で、透湿性が高ければ高いほど蒸れにくく快適な着心地を維持できます。

耐水圧と透湿性については別の記事で詳しく解説していますので、ぜひそちらも参照してください。

いずれにしても、合羽を選ぶ際にはまず耐水圧と透湿性を基準に選び、その上で使用されている素材が撥水加工のものなのか防水加工のものなのかによって選び分けするのが理想です。

まとめ

撥水加工や防水加工は、一見すると非常に似通ったイメージを抱きがちですが、実際にはそれぞれに特徴が大きく異なっています。単純に、蒸れにくい合羽が欲しいなら撥水加工のもの、水を完全にシャットアウトしたいなら防水加工のものを選ぶのがおすすめです。

また本文中でも触れていますが、最近では高い防水性と蒸れにくさの両方を兼ね備えた合羽も登場しています。

合羽の種類も豊富ですので、ぜひご自身に合った1枚を見つけてみてください。

 

 

 

 

 

 

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